学長メッセージ令和6年度春学期学位記授与式 学長式辞

 卒業生の皆様、ご卒業、おめでとうございます。皆様に心よりお祝いを申し上げます。
 また、卒業生の皆様に対して様々なご支援をされてこられました保護者の皆様、ご家族の皆様もさぞお慶びのことと思います。

 皆様は、嘉悦大学で学修に精励(せいれい)し、校訓「怒るな働け」のもと、実学・実務・実践を3つの柱とする創造的実学教育を修められました。そして、ここに、「学士」の学位を取得されたということになります。

 皆さんは、無事に「学士」の「学位」を取得されたわけですが、実は、皆さんの人生はこれからが本番です。
 嘉悦大学の創造的実学教育は、単に大学の卒業だけを目指す実学教育ではありません。また、自分の「得」になること、お金儲けにつながることだけを学ぶ実学教育でもありません。
 卒業後に、皆さんが大学で学んだことを活かし、会社や社会で、上司や同僚などの回りの人たちから「この人に任せておけば安心だ」と頼りにされる人材として活躍すること、そして、仕事や社会人としての活動を通じて、皆さんの生きる未来の世の中をより豊かで幸せな社会への変えていくのに少しでも貢献すること、そうした人材を育成する実学教育です。
 私のこれまでの経験からいっても、自分の得になるかどうかといった狭い視野で仕事をしていても、長い目で見ると、自分の可能性は伸びていきません。「だれかほかの人を幸せにしたい」、「世の中を少しでもよくしたい」という広い視野、「公を支える精神」で仕事をした場合に、人間は自分の本当の潜在能力を発揮できるものだと私は考えています。

 嘉悦大学は、今年で創立121周年を迎えます。121年前に嘉悦大学の前身である「私立女子商業学校」を創立した嘉悦孝先生は、「怒るな働け」という言葉を、「私立女子商業学校」の校訓にしました。嘉悦孝先生が「怒るな」という言葉に込めた思いは、こうした公共精神のことだと私は考えています。嘉悦孝先生は、嘉悦の学生の皆さんに、「実学」を学ぶことによって、自分のためだけではなく、世の中のために働ける人材になってほしいと考えていた。そして、世の中のためにという広い視野で働くなかで、その人の潜在能力が花開くはずだと考えていたのだ、と私は思います。

 これから皆様は、社会人として様々な世界へ羽ばたいていかれるわけですが、その世界、社会は、たいへん厳しく、変化の激しいものであります。特に、ウクライナとロシアとの間の長引く戦争、アメリカと中国との対立と中国経済の変調、パレスチナでの紛争など、世の中はより厳しいものになっています。世の中が厳しいものになればなるほど、余裕がなくなって、つい自分のことだけ、自分の「得」になることだけを考えてしまいがちです。そして、それは人間として当たり前のことです。

 しかし、こうした厳しい世の中であるからこそ、ぜひ、皆さんには、「だれかほかの人を幸せにしたい」、「世の中を少しでもよくしたい」という思い、つまり「怒るな働け」の精神を忘れずに、今後の仕事に取り組んでいってほしいと思います。こうした姿勢が皆さんを最も成長させることになると私は思うからです。

 最後になりましたが、皆様のこれからのますますのご健勝とご多幸を祈念いたしまして、私からのお祝いの言葉とさせていただきます。

令和6年9月19日
嘉悦大学学長 森本 孝

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