学生広報部レポート/対面授業再開、学生は今何を思う?
公開日:2021.12.20
学生広報部レポート
対面授業再開、学生は今何を思う?
嘉悦大学は、秋学期の第2週 (10月4日~9日)を境に、履修者数80名を超える授業を除き対面授業を再開しました。同時に、部活動・同好会活動への制限も感染対策ルールに基づいた上で学内での活動が可能となり、以前の日常が戻りつつあります。
4年間という限られた大学生活において非常に長い1年半という期間をオンラインで過ごした学生は今、何を思うのでしょうか。学生広報部の松本が、学生や教員のインタビューを踏まえ、自分自身の思いとともに大学のリアルをお伝えしていきます。
1年半経てばそこは非日常。対面授業になってなにが変わった?
昨年4月に授業が完全オンライン化されてから約1年半。大学構内では、「おぉ!久しぶり!」なんて驚きや感動、たまに照れが混じった様な声がよく聞こえてきます。
4年生の私、松本はそんな声に喜びを感じつつ、見知った顔が全く居ない事に少し肩身が狭く感じています。なにせ、大抵の4年生は大学へ来る機会が減り殆ど見かけませんし、2回分のまだ見ぬ新入生で溢れているわけですから当然です。
とはいっても、普通の大学生活を2年も過ごした私としては、例え初めて見た顔だとしても1年半も普通の大学生活を過ごせなかった後輩たちが活き活きと、ときに気怠げに大学で過ごしている姿は嬉しいものです。
「対面授業になって何が一番嬉しい?」
学生広報部所属の後輩3人に、「対面授業になって何が一番嬉しい?」と聞いてみると
小平(1年):「友達に会うことができること。大学での他愛のない話とかがやっぱりすごく楽しいです」
上原(2年):「友達が出来たこと! 対面になって学校が毎日楽しいので行けるようになって良かった」
北村(3年):「授業が理解しやすくなったこと。友達に会う機会が増えたこと」
とのことでした。やはり、どうしてもオンライン下ではコミュニケーションが取りづらかったり新たな出会いが少なかったりするので、話を聞いた皆が口を揃えて「友達」という言葉を発した事にも頷けます。
大学の友人とのコミュニケーションがオンラインの画面越しからマスク越しとなり、友人との距離が不織布1枚と2mまで近づいた事による恩恵は、非常に大きなものだと感じます。
「逆に、なにが一番大変?」
対面授業が再開されたということは、“通学”しなければならなくなったという事です。私、松本は4年ですので、対面授業が週に1コマとゼミのみで火・金曜日と通学するのですが、火曜日は90分の授業のために片道90分かけて通学しています。お昼ごはんを食べてから家を出て夕方に帰宅するくらいなのですが、この時期ともなると帰宅時外は既に日が沈み、「1コマ受けただけなのに…」「オンデマンドだったら3コマぶんの時間じゃん…」と、オンラインへの慣れも相まって、どこかやるせない気持ちになります。
学生広報部の後輩3人は「対面授業になって大変なこと」についてこう言います。
小平(1年):「通学です。オンラインだと通学や教室移動などがないので時間に余裕があり、移動時間を課題をやる時間に変えられたり、オンライン授業の後にそのままの流れで課題ができていたけれど、一度家に帰ってからだと少しつらいです」
上原(2年):「朝起きること!」
北村(3年):「オンライン授業だった時のように自分の好きな時間に勉強できないので、時間を上手く使えなくなりました」
オンライン下では、私のように片道90分の通学時間を要する場合、1日に3時間、平日5日で7.5時間もの時間を自由に使うことができました。1日3時間あれば課題を2・3個提出できますし、趣味などの自分の時間に充てることもできます。
このような自分の自由な時間が対面授業再開と同時にふっとなくなってしまったのです。これは、“日常に戻った”というより“非日常に変わった”という方が似合うのではないかと思うくらいに、学生にとって大変な事になってきたのです。
オンライン教壇から慣れ親しんだ教壇に。教員は今、何を思う?
ここまで対面授業が再開されて学生が感じる事について取り上げてきましたが、教員の方はどうでしょうか。
「学生が慣れないオンライン授業を強いられている」などといった事はいたるところで耳にしますが、裏を返せば教員の方も同様で、慣れないオンライン上で教鞭を執り、且つ教育の質を下げるわけにはいかないと日々試行錯誤をしてくださっていたのですから、学生では計り知れない程大変な思いをしていたのではないかと思います。
そんな先生方は対面授業が再開された今、どういった思いなのでしょうか。
マーケティング論などを担当してらっしゃる國田先生は、対面授業が再開されたことについてこう仰っていました。
松本: オンラインで苦労した事や、対面が再開して嬉しかった事は何かありますか?
國田: やっぱり(学生の)顔が見られるのは良いですよね。 (オンライン授業では)学生の通信環境を考えて、Zoomで顔出ししなくても良いとしていましたけど、そうすると黒地の背景に白い文字の名前がズラッと並んでいるような画面になってしまい、それに向かって話してるとなんだか常に納骨堂をイメージしてしまって気持ちがすごくネガティブになってました(苦笑)。だから(嬉しかった事と言えば)顔が見れるっていうのが一番大きいかな。
また、國田先生は対面で授業を行いながら同時にZoomでも授業資料や音声を配信し、学生もまた対面で受講しながらZoomに接続しています。
なぜそのようなハイブリッド形態をとっているのか、理由を聞いてみました。
松本: なぜ、対面授業ながらもZoomを使用しているのですか?
國田: 授業資料が手元で見られると小さい字でも印象に残るので、(学生が)内容についていきやすくなったという話がありますし、わざわざZoomを使う理由はチャットをなるべく使いたいからです。みんな手を挙げて口で発言するのは嫌じゃない? でもチャットなら結構書き込んでくれるし、オンラインのときはチャットが唯一のコミュニケーションチャンスだったので、対面になったとしてもインタラクション性を担保できるのでZoomを活用しています。
國田先生のように、多くの履修者を抱えた授業で学生と教員の双方向的なコミュニケーションを取ることは難しいことだと思います。対面授業では、前述の“手を挙げて発言する”行為は少しハードルが高いのか、授業終了後にひっそりと先生に質問しに行く、なんてことが日常茶飯事です。一方、Zoomなどのオンライン授業ではチャットなどを活用し、授業内外関わらずいつでも教員とコミュニケーションが取れましたが、すべての先生方がZoomで授業を行っているわけではないため、オンデマンド型のように授業資料と音声のみを配信していた授業などでは「先生にどうやってメールやチャットをしていいかわからない」という声もちらほらとありました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は「嬉しい/大変」の2つの観点で、対面授業が再開されて学生は何を思うのかを取り上げました。
やはり、友達と会えるなどの嬉しい事がある反面、オンラインでの学生生活に慣れた頃の対面授業再開ですから、生活様式の急激な変化により通学や時間などといった点で「大変」な思いをしている面もありました。
しかし、1年半オンライン授業を強いられていた学生の思いはこれだけでは留まらず、個人個人で大小様々な思いがあると思います。
嘉悦大学には今後、持ち前のICT教育や少人数授業を活かし、國田先生がオンライン授業で良かった事であるZoomのチャット機能などを対面授業でも取り入れている様に、オンラインと対面のいいとこ取りをしたような柔軟性溢れる学生生活を送れるよう努めてほしいと感じました。
また、学生としても完全オンライン下と対面授業を経験したこの機会に、学生生活についてや時間の使い方を考え、今後のウィズコロナやアフターコロナの新様式の生活に生かしていくべきなのかもしれません。
文責:学生広報部 松本慈源(嘉悦大学 ビジネス創造学部 4年)