【学長メッセージ】新型コロナウイルス感染拡大に伴う本学の修学支援と学費の考え方について
公開日:2020.06.12
嘉悦大学の学生並びに保護者の皆様へ新型コロナウイルス感染拡大に伴う本学の修学支援と学費の考え方
1 新型コロナウイルス感染症拡大に対する学びの修学支援について
新型コロナウイルスの感染拡大は、終わりの見えない状況が続いております。東京都においては、4月7日に発出された「緊急事態宣言」が5月25日に解除され、また6月2日に発動された「東京アラート」が6月11日にようやく解除されました。 嘉悦大学では、学生の研究・学修支援の充実を目的として、「オンライン授業」を原則としつつ、十分な感染拡大防止の対策を行ったうえで、6月8日以降、大学構内への入構禁止措置、学内施設・窓口の閉鎖措置を段階的に緩和することといたしました。 しかし,このような新型コロナウイルス感染症拡大に伴う授業開始の延期や、オンライン授業の実施への対応について,大学に寄せられる授業料や設備費等に関する、減額および返還を求める声が、学生の皆さんの一部から寄せられました。このことにつきまして、本学は真摯に受け止め私共の考え方をお伝え申し上げたいと思います。 (1)コロナ禍に対する本学の教育方針 コロナ禍で人々の生活は激変しましたが、私達はこの恐怖におびえてはいけない、大学のもてる力を集中させ、難局に立ち向かい、困難を学生の皆さんと一緒になって克服していかなければならないと決意しました。 “怒るな働け”の校訓の下で、学生が広い視野と寛容な精神を持って、公の精神を発揮して自立と尊厳をもって行動するよう導いていくという教育理念は、コロナ禍にあってもいささか揺るぎもなく繋いでいかなければならないと全教職員で誓っております。 (2)オンライン授業の実行 対面授業が不可能になり、オンライン授業を実行していますが、2年次、3年次、4年次の学生は全員パソコンを保有し、学ナビ等を通しICTへの習熟度は他大学生より数段優位にあります。新入生にもパソコン等を通じICTへのリテラシー力を高めるため、オンラインガイダンスや個別対応に力を入れ、オンライン授業がスムーズにいくよう、全教職員は一丸となって課題に取り組み、また本学はオンライン授業の運営にあたり、多大なコストを投下しております。オンライン授業は、対面授業と比較して劣る点もありますが、ネットの特性による効果で優れている点も多くあり、教育の質の保証は得られていると確信しております。 また、オンライン授業への取り組みは、対面授業ができないための単なる代替手段ではなく、教育の新たなる展開の可能性を示唆しております。デジタルトランスフォーメーション(即ちデジタルの活用)によって人々の生活の質を高めるという変革は、オンライン授業でも位置づけられていくのではないかと思います。本学は、今後は対面授業とオンライン授業が併合するハイブリッド型教育の導入の必要性を考えております。 以上、嘉悦大学では、(1)学生と教職員の健康と生命を守る。(2)対面授業に決して劣らないオンライン授業を実施し、学びの継続を実行する。(3)家計収入の厳しい学生に支援を行う。この3点を基本ポリシーにして、全力を傾注致します。このことを是非とも学生並びに保護者の皆様におかれましてはご理解いただき、今ある危機をご一緒に乗り越えていきたいと思います。皆様のご協力をよろしくお願い申し上げます。2 授業料、設備費等に関する基本的な考え方
在学生をはじめとする皆様より、授業料や設備費等に関するご意見やご要望をいただいています。 キャンパス閉鎖により大学の施設設備の利用が制限されていること、授業が対面授業からオンライン授業に変更されたことなどを理由として、学納金のなかでも特に授業料や設備費等の一部返還を求めるご意見やご要望です。 貴重なご意見、ご要望、誠にありがとうございました。 本学では、新型コロナウイルスの影響により経済的な困難に直面した学生の皆さんの教育機会、成長機会を可能な限り提供していこうと考える点では、ご意見をいただいた皆様と共通の考えを持っています。しかし、それは授業料や設備費等の一律の減免という形ではなく、経済的困難に直面して大学での学修が難しくなる学生の皆さんへの奨学金制度等の充実によって果たすべきだと考えています。 このような考え方に至った理由の一つに、本学の授業料や設備費等に関する基本的な考え方がありますので、この機会に、授業料や設備費等に関する本学の基本的な考え方についてご説明させていただきます。 (1)授業料について 大学の場合、授業や教育に関する費用は、卒業に必要な単位数である124単位ないし128単位を原則として4年間で取得し、「学士号」の学位を得る教育課程を前提として、それに必要な費用として設定されています。具体的には、学位取得までの期間にかかる費用を在学年数に応じて学期ごとあるいは1年毎に分割して納入していただいているものです。学期単位の教育費用として納入をいただいているものではありません。したがって、例えば、ある学期に履修科目数が少ないからといって、その学期の授業料が減額されるという性格のものではありません。 新型コロナウイルスの影響により、学生の皆さんが所定の年限(大学の場合、4年間)で学位が取得できなくなるといったことがあっては、学位授与機関としての大学の使命を果たすことができません。そういうことの無いように、教職員一同、責任をもって最大限の努力をしています。具体的には、2020年度春学期にも、カリキュラム設置科目のほぼ100%(スポーツ科目やインターンシップ科目等のごく一部の科目を除くほぼすべての科目)を開講します。開講科目が少なくて、学生の皆さんが目標とする単位を取得できないという事態を防ぐための措置です。また、中国をはじめとする入国禁止区域にいる留学生の皆さんに対しても、「オンライン授業」によって、ほぼすべての科目の単位を修得できるようにしています。このように、2020年度春学期は、「オンライン授業」など、従来とは異なる形式で教育を実施していますが、4年間での「学位」の取得に影響を及ぼさないように最大限の配慮し、学生の皆さんがしっかりと単位を取得できるための努力をしています。この点をご理解いただければと思います。 また、2020年度春学期は、通常15週の授業が11週でおこなわれ、また、「オンライン授業」として実施されています。しかし、当初の15週の授業計画(教育内容)は変更せず、11週分を(所定された曜日・時限の)「オンライン授業」として実施し、4週分を(オンラインでの)「課題研究」として実施します。従来と形式は異なりますが、従来と同じ単位数を付与する以上、教育内容を削減することはありません。15週分の学修内容についてしっかりと学べるようにしています。「オンライン授業」の実施にあたっても、「オンライン授業」が単なる通信教育になってしまわないように、ZoomやMeetなどのテレビ会議システムや「学ナビ」、Google ClassroomなどのLMS(Learning Management System)をフル活用して、教員・学生間、学生相互の双方向のやり取りができるような運用をおこなっていきます。「対面授業」には「対面授業」の良さがあり、「オンライン授業」には「オンライン授業」の良さがあります。本学は、「オンライン授業」の良さをできるだけ活かして、「対面授業」とは異なる方法で「対面授業」以上の教育効果をあげられるように最大限の努力をしています。11週授業や「オンライン授業」が決して教育内容の削減や劣化に繋がるものではないことをご理解いただければと思います。 (2)設備費等について 設備費等は、本学の施設や設備の利用料・維持管理費用として設定されています。設備費等のなかには、校地、校舎のみならず、情報ネットワーク、オンラインシステム、教育用ソフトウェア、オンラインデータベース等の「オンライン授業」実施のために不可欠な施設・設備の利用料・維持管理費用も含まれています。 設備費等についても、授業料と同様に、在学期間(大学の場合、4年間)を前提とした総額を分割して納入していただいています。 また、設備費等に関しては、学生の皆さん毎の利用頻度や使用量が異なっていても、一定額を納入していただいています。 設備費等は、大学全体の「公共財」であり、過去の卒業生を含めた本学の在校生が納入してきた設備費等によって、現在のキャンパスにおける校地校舎、施設・設備が整備されてきています。また、現在の在校生の皆さんに納入していただいた設備費等は、将来の嘉悦の学生(皆さんの後輩たち)の教育環境の向上にもつながる経費ということになります。 設備費等は、卒業生を含めた本学の在校生全体で本学の教育環境を維持し向上させていくための費用なのです。 この点をご理解いただければと思います。3 新型コロナウイルス感染症拡大に対する本学独自の修学支援制度
経済的理由により授業料等の支払いが困難になった本学学生に対し、嘉悦大学独自の修学支援制度(授業料減免制度)を大幅に拡充します。嘉悦大学修学支援授業料減免制度
経済的に困窮している学生に支援するため、従来からある授業料減免制度を改正いたします(留学生は対象外です)。 高等教育の修学支援新制度の対象にならなかった方に支援を行います。また学資負担者を含む世帯の家計基準を年収550万円以下とし、また新制度よりも成績基準の水準を緩和して対象を拡大いたします。 【減免額】 授業料の1/2以内 (参考区分)昨年の年収(給与所得者) | 昨年の所得(給与所得者以外) | 授業料減免額 | |
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1 | 320万円以下 | 210万円以下 | 35万円 |
2 | 400万円以下 | 260万円以下 | 27万円 |
3 | 460万円以下 | 310万円以下 | 15万円 |
4 | 550万円以下 | 370万円以下 | 5~10万円 |
給与所得者:収入550万円以下、給与所得者以外:所得370万円以下
2. 授業の出席が良好で、GPAが一定水準以上の者(新制度より低い水準です) 【申請方法】 近日中に学ナビにてお知らせいたします。嘉悦大学新型コロナウイルスの影響による家計急変に伴う授業料減免制度
今般の新型コロナウイルス感染症の直接的・間接的影響で、家計が急変した世帯の学生に対して授業料の減免を行う制度です。 高等教育の修学支援新制度の対象にならない方に支援を行います。また給与所得者の家計基準を年収550万円以下とし、また新制度より成績基準の水準を緩和して対象を拡大いたします。 (家計基準は、今年の年収見込みです) 【減免額】 授業料の1/2以内 (参考区分)今年の年収見込み | 授業料減免額 | |
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1 | 320万円以下 | 35万円 |
2 | 400万円以下 | 27万円 |
3 | 460万円以下 | 15万円 |
4 | 550万円以下 | 5~10万円 |
嘉悦大学私費留学生授業料減免制度
私費留学生につきましては、私費留学生授業料減免制度により、授業料減免を行います。 http://www.kaetsu.ac.jp/for-student/for-student/expenses-support/expenses54 大学閉鎖に伴う大学の対応(オンライン授業実施に伴う支援)
(1) 図書館の遠隔利用サービスの拡充 図書館は長期に渡って閉館していますが、学外から閲覧可能なデータベースや電子ジャーナルのサービス拡充を行っております。 また、他機関から論文等を取り寄せる文献複写サービスを実施しており、ご自宅まで無料で郵送しています。 大学院生と学部4年生に関しては、郵送費無料での図書郵送貸出サービスや事前予約制による来館サービスなども実施しています。 (2) オンライン授業の整備 オンライン授業および学生相互のコミュニケーションの円滑化を図るため、オンライン会議システム(Zoom)の使用ライセンスを購入しました。 (3) 情報メディアセンター オンラインヘルプデスクを開設し、学生スタッフがノートPCの利用支援やトラブル対応などのサポートを実施しています。また、ノートPCが修理中の学生にはノートPCの貸出も実施しています。 (4) 障がいのある学生への対応 オンライン授業に必要な情報保障を個々に確認し、聴覚障がいを持つ学生の受講においてはすべてUDトークを利用した字幕化により対応しています。 (5) 学費の納入時期の猶予等 学費の納入期限に係らず、納入時期について柔軟に対応します。また、分納方法についても同様に対応します。 (6)各種奨学金の対応について 各種奨学金に関する問い合わせについて、随時、メールでの回答や書類の郵送等の対応を行っています。 (7)カウンセリングルームおよびウェルネスセンター 健康管理の支援(体調管理、健康観察)を実施しています。別途オンラインによる対応を実施しています。 (8) 外国人留学生への対応 日本に在留している外国人留学生については、オンライン授業や学生生活等の相談に対応し、また、入国できず母国に留まらざるを得ない状況にある外国人留学生には、 オンライン授業の受講支援の他、在留期間更新手続きの申請を代理で行っています。 (9) 就職活動等の対応 就職活動やキャリア支援に関する問い合わせや相談を、メールやオンラインでのキャリアカウンセリング (Google Meet使用) にて対応しています。 また、「就職活動・インターンシップ証明書」の発行はメールにて、履歴書販売については郵送で行っています。 (10)教務センター 在学生の各種証明書の郵送サービスを行っています。 (11) 学友会クラブ 入学後の学友会活動を支援するため、オンライン新入生歓迎会・学友会クラブ紹介のオンラインイベントを企画しています。 (12) 簿記関連の資格取得講座の実施(オンライン講座無料) 全経簿記検定3級(商業簿記)対策講座 6月スタート 日商簿記検定1級(商業簿記)対策講座 8月スタート令和2年6月12日 嘉悦大学学長 井上行忠